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代表あいさつ

同僚の目と、何もできなかった自分

社会人一年目、同じ職場にいた同僚が緑内障だと分かりました。当時の私と年の近い、20台半ばの方でした。緑内障は完治が難しく、日本人の失明原因としてもよく知られている病気です。

通院先を探す手伝いくらいはできても、医者ではない自分にできることは、それ以上ありませんでした。

数年後に独立してエイチピースタイリングを立ち上げ、Web制作を仕事にして数年が経った頃、ふと当時のことを思い出しました。もしホームページが、目の見えない人でも使えるものだったら。当時の同僚が視力を失うことがあっても、世界を閉じずに済むのではないか。

言葉としては知っていた「ウェブアクセシビリティ」に、本気で向き合ってみようと思ったのは、この時です。今日まで続く活動の、本当の出発点になりました。

見えない人がパソコンを使う様子を、初めて見た日

そうして色々な人に話を聞かせてもらっていた2008年の暮れ、青森県内に住む全盲のシンガーソングライター、板橋かずゆきさんにお会いしました。

その場で、板橋さんが普段どうやってパソコンを操作しているかを見せていただきました。

まず驚いたのは速さでした。私が操作するのと変わらないスピードで画面が進んでいく。ただし決定的に違うことが二つありました。マウスを一切使わないこと。そして、Webサイトが文字だけで読み上げられていくことです。

いくつかのサイトを開いてもらううちに、内容がすぐ分かるサイトと、どうしても分からないサイトがあることが見えてきました。ある地元放送局のサイトでは、肝心の画像に代替テキストが入っていないため、知りたい情報にたどり着けませんでした。

代替テキストが重要だということは、Web制作者として知っているつもりでした。けれど、目の前で読み上げが止まる場面を見せられると、実感がまるで違います。

板橋さんとの出会いをきっかけに、頭の中にあった思いが、少しずつ具体的な行動に変わっていきました。

音だけを頼りに、画面に触れる

その後、初代iPadを手に入れて触っているうちに、アクセシビリティ機能が搭載されているという話を耳にします。試してみると、確かに画面を読み上げ、拡大もできる。これなら目の見えない方にも使えるのではないか、と考えました。

当時は情報がほとんどありませんでした。自分で試行錯誤し、動画を漁りながら使い方を覚え、半ば勢いのまま最初の講習会を開いたのが2012年です。青森市のふれあいの館に、3人の全盲の方が集まってくださいました。

弱視の方なら画面を拡大する道もありますが、全盲の方が頼れるのは音声だけです。使えるアプリの幅もぐっと狭くなる。それでも何か役に立つことがあるはずだと思って開いた会でした。

そこから今日まで、講習を続けています。対象は聴覚に障害のある方、盲ろうの方、高齢の方へと広がりました。青森県内17市町村と、宮城、岩手、山形、北海道、東京、兵庫、宮崎でも講習を担当してきました。

教えられる人を、地域に増やす

途中で気づいたことがあります。私一人が回れる範囲には限りがある、ということです。

呼ばれた場所へ出向き、その日だけ教えて帰る。それを繰り返しても、支援は地域に根づきません。困ったときにすぐ相談できる誰かが、その地域にいることのほうが大切です。

2013年度から、青森県の委託を受けて、障がいのある方や高齢の方に機器の使い方を教えられる人材を育てる講座を始めました。13年目を迎え、修了者は300名を超えています。なかには自分たちで団体を立ち上げ、地域で講習を開いている方もいます。

願っていたことが、少しずつ形になってきました。

現場にいること

近年は学校現場に入る仕事が増えました。2020年から地元・鶴田町のGIGAスクールサポーターを務め、週に一度、小中学校に通っています。

学校で分かったのは、研修を一度受けただけでは足りないということでした。実際に授業で使う段になって、必ず新しい疑問が出てきます。ところが先生方は多忙で、試行錯誤する時間がない。そこで止まってしまいます。

必要なのは、その場ですぐ聞ける相手のほうでした。

医療機関でのAI活用支援も同じです。外から眺めているだけでは、どこに手間がかかっているのか分かりません。中に入り、話を聞き、試して、直す。その繰り返しでしか見えてこないものがあります。

これから

技術は変わり続けます。パソコンからタブレットへ、そして生成AIへ。扱う道具は入れ替わってきました。

けれど、やっていることの芯は変わっていないと思っています。目の前にいる人が何に困っていて、どうすれば少し楽になるのか。それを一緒に考えること。

「その機能は付いていません」と言われて諦めてしまう人を、一人でも減らしたい。そう思いながら仕事をしています。

エイチピースタイリング 髙森 三樹

会社概要

屋号エイチピースタイリング
代表髙森 三樹
設立2010年6月
所在地〒038-3503 青森県北津軽郡鶴田町内
(個人事業主のため詳しい住所は控えます)
電話番号090-9742-6430(平日 9:00–17:00)
事業内容障害者のICT利活用サポート
教育分野のICT利活用サポート
各種研修会の講師
医療機関を始めとした企業・団体へのFDE支援
ウェブアクセシビリティの推進・診断・コンサルティング
対応エリア青森県内を中心に対応。オンラインでの研修・相談は全国から承ります
所属団体NPO法人あおもりIT活用サポートセンター
シニアインストラクター
受賞2014年 モバイルプロジェクト・アワード2014 MCF社会貢献賞
(受賞プロジェクト:青森県視覚・聴覚障害のある方にiPadを教える人財育成事業)

主な活動実績

  • 視覚障がい者等を対象としたデジタル技術利活用講座
  • 障がい者支援のためのICTサポーター育成講座
  • 小中学校でのGIGAスクールサポーター(ICT支援員)活動
  • 青森県庁「ウェブ広報力向上研修」アクセシビリティ編 講師
  • 「目の見えない、見えにくい方のための福祉展」出展
  • ウェブサイトの企画・制作・運用管理(多数)

個別の活動記録は実績紹介をご覧ください。

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